最近、年甲斐もなく若い女性アイドルの情報を集めていたのに、思いがけないところから国際政治情勢が視野に入ってきた。
ドナルド・トランプ米大統領が3日午前零時すぎ、ツイッターで「SILENT MAJORITY!」とつぶやいた、と「まとめサイト」の情報で知って、そのツイートを確認した。
欅坂46のデビュー曲「サイレントマジョリティー」を聴いて感激した、という話ではあるわけがない。
発言者は、Donald J. Trump(ツイッターIDは@realDonaldTrump)、45th President of the United States of America(第45代アメリカ合衆国大統領)と自己紹介している。
フォロワー数は8154.8万人。どう見ても本物だよね。
注目のツイートはこちら。
3日午前6時17分現在、6.9万リツイート、27.6万いいねがついている。
トランプ大統領といえば、今年11月の大統領選で再選が危ぶまれている。今年初めごろは接戦で勝利するとの観測が多かったが、新型コロナによる壊滅的な経済危機の影響で支持率が急落、民主党のバイデン氏(前副大統領)に支持率を引き離されている。
世界経済長期予測で定評のある「Oxford Economics」(本部:英国オックスフォード)が「トランプ大敗」の不吉な予測を発表している。
急浮上してきた「トランプ惨敗」説の論拠と波紋
斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)
さらに、直近では黒人暴行死事件をめぐるトランプ大統領の「略奪が始まれば、銃撃が始まる」との発言に批判が殺到。
米人気ポップ歌手のテイラー・スウィフトさんが5月29日、抗議のデモ参加者への発砲を示唆したトランプ大統領に対し、ツイッターで「就任してからずっと白人優位主義と人種差別の火をたきつけてきた。厚かましくも道徳的優越感を装った後に暴力で脅すのか」と怒りをぶつけた。
トランプ大統領が「SILENT MAJORITY」とツイートしたのは、彼を大統領の椅子につかせた、声なき隠れトランプこそ大多数であり、声高に政権批判している人々は少数派だ、と言いたかったのかもしれない。
この「SILENT MAJORITY」という発言、有名なのはニクソン大統領だ。
1969年11月3日の演説で「グレート・サイレント・マジョリティ」という言葉を使った。当時、一部の学生などによるベトナムからの即時全面撤退を求める反戦運動が注目を集めていたが、ニクソン氏は「サイレント・マジョリティ」が政府を支持していると反論したのだ。
ニクソン氏に生前、一度だけ会ったことがある。ウオーターゲート事件で失脚したニクソン氏だが、本人の名誉回復を狙って生まれ故郷のカリフォルニア州に「ニクソンライブラリー」をオープンしたとき、そのセレモニーの当日、数分間だけ会うチャンスがあった。
日本船舶振興会のドン笹川良一氏の米国出張に2週間同行取材をしていた。ニクソン氏がドン一行を招き入れてくれたとき、私も駆け出し記者として末席にいた。握手したとき、ニクソン氏の手が大きくて力強いのにびっくりした記憶がある。
そんな余談はさておき…。
ツイートで“サイマジョの系譜”についてニクソン→欅坂46→トランプと書いている人がいた。
2人の大統領は、サイレントマジョリティーは自分の味方といい、欅坂は「どこかの国の大統領が言っていた」のは「曲解」とし、「Yes でいいのかサイレントマジョリティー」と声を上げるように鼓舞している。
立場としては真逆だが、欅坂が世界のリーダーと名前を連ねているのは痛快だった。「神曲」になるべくして「神曲」になった曲なんだろうね。
こうなると、英語バージョンのMVもほしい!
世界中の人々にアピールできるんじゃないだろうか。