乃木坂46乃木坂46

 

 AKB48や坂道グループの生みの親、秋元康氏(62)が11日放送のNHK―FM「今日は一日“乃木坂46”三昧」に電話出演し、「ポスト白石麻衣はいない」「メンバーは自信をもってほしい、誰かが1等賞にしたから、そこにいる」「夢って全力で手を伸ばした一ミリ先にある」などと語った。

 秋元氏は乃木坂46の秋元真夏、齋藤飛鳥らの質問に答える形で、プロデューサーとして、どのようにアイドルと向き合っているかを説明した。

作曲家200人との「グループLINE」の存在

あすかちゃんが「坂道グループの中で、このグループの曲は作詞するのは難しいな、このグループは作詞するの楽しいな、とか違いはあるものなのか気になってました」と質問。

 これに対し、「基本はないですね」と返答した秋元氏は、曲作りのため、(正確には数えたことはないと前置きしたが)作曲家「200人」ほどと「グループLINE」をつくっているという。

 そのLINEへ、新曲のイメージをおくると、作曲家から「相当数の曲」が出来上がってくる。秋元氏はそのメロディーを聴きながら「これは乃木坂じゃなくて、こっちがいいなとか、逆の場合もありますね。櫻坂用に書いてもらったけど、これは乃木坂のほうがいいかなとか」。

 乃木坂の新曲「僕は僕を好きになる」は27日にリリースされる。

乃木坂46
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 秋元氏は「前が小室哲也さんの曲(Route 246)だったので、こんどは違うタイプがいいと。杉山勝彦さんの曲が、すごくしみるような感じの曲だったので、いいなと思いました」と説明。さらに、野球にたとえて「ピッチャーがインコース高めをかなりのスピードで投げ、次はアウトコース低めの変化球で空振りさせようとか…」とアイドルグループでも“配球”に気を付けていると補足した。

 

ポスト白石麻衣は「絶対にいない」

 新曲は、絶対的エースと呼ばれた白石麻衣卒業後の初作品となる。

 秋元氏は「いろんなところでインタビュー受けて、ポスト白石麻衣だれですか?と聞かれるけど、でも、いないんだよね。絶対に。白石麻衣は白石麻衣でしかない」と力説。

 そのうえで、グループの今後に期待を寄せる。「全然違う人が、全然違う形で光り輝く。すごく弱音を吐く子がいたとして、弱音を吐くことが、私も同じように弱音を吐きます、同じように強く生きられない…という人に刺さったりするかもしれない」

白石麻衣

センター、フォーメーションは「今は決めてない」

 秋元氏は、だれをグループのセンターにするか、フォーメーションをどうするかをめぐり、以前は「かなり意見を言っていた」と振り返ったが、最近はマネージャーやスタッフの提案を聞いて「まあ、いいんじゃないですか」とOKを出す形が多いと明かした。

「らしさ」とは…シメの雑炊の味

3期生の梅ちゃん(梅澤美波)から「わたしたち3期生のイメージは?」と聞かれると、

 「コンサートやライブをやると、反省会で、乃木坂らしさが出てないとか、乃木坂らしさがどう、という話になる。スタッフも“らしさを出せ”と言うけど、らしさって狙ってつくるものではないと思うんですよ。1期生もいろんなメンバーがいて、それが混ざり合って、最終的に1期生しか出せない色が出て、2期生には2期生の色が、3期生には3期生の色が出てくるんだと思う」

 そして、鍋にたとえて、こう説明する。

 「魚介鍋でも何鍋でも、最後は(シメの)雑炊に向かっていくじゃないかなと思うんです。同じ味の雑炊はできないでしょ。ダシがいっぱい出る場合も、出ない場合もある。グループのらしさってそこだと思う。3期生はその途中で、化学変化を起こして、どんな味の雑炊ができるかというところじゃないかな」

 

一番困った質問「私の何が足りないの?」

 秋元氏はこれまでのアイドルプロデュースを振り返って、「私の何がたりないんでしょうか?」という質問がLINEで来ると「すごく困った」と打ち明けた。

 当時はスマホではなく、ガラケーの時代。「おじさんだから、打ちにくくて2時間か3時間かけて、すごい長文を返した」という。それに対して、彼女たちからの返信は「絵文字」か「了解」の2文字だけ。

 秋元氏は「足りないんじゃないんだよ。足りないところを探すんじゃないよ。見つかってほしいな。ファンのみなさん、マネージャーのみなさんに見つかってほしい、と心から思いますね」と語った。

 全員、難関のオーディションを勝ち抜いてアイドルグループの一員になっている。

 オーディションでは、ルックスや歌唱力の平均点上位の子をとるようなことをしない。審査員ひとりひとりの“1等賞”を採用する、という。秋元氏は「平均点の上位より、1等賞が10人、20人集まったほうがいい」という考えだ。

 

あなたがそこにいるのは“1等賞”だから

 メンバーに言いたいのは「自信をもったほうがいい」ということ。

 選抜にもれたりすると、自信をなくし、アイドルとしての将来に不安を覚えるケースも少なくないと思われるが、秋元氏は「あなたがたがそこにいるのは、必ずだれか審査員が推しているんです。だれかが1等賞にしているから、そこにいるんですよ」と語りかけた。

 「だから真夏みたいに、たとえばカミカミだけど、なんかホッとするなという存在感かもしれないし、あすかみたいに、すごくサディスティックな厳しい意見を言う人もいるしね」。

 これに対し、あすかちゃんが「ちょっと語弊ありません?それ。わたし、サディスティックかな?」と反論すると、秋元氏は「あすかは、サディスティックというか、お世辞が言えない、思ったことをそのまま言いたい人、みんな理解している。そこを、好きな人もいるんじゃないか」と言い直した。

 そして「みんないろんはキャラクターあるじゃない。高山は高山で小説を書いて、すばらしいと思う」とした。秋元氏は「なんで高山だけ、かずみって言わないだろうね。高山は高山なんだよね」と脱線したが、続けて「さゆりんご(松村沙友理)は妙なプロデュース能力があって、さゆりんご軍団はこれからすごく面白そうだなと思う」と持ち上げ、

 「部活だって、そうじゃない。好きなことやれば、そこに必ず仲間や、ファンがいる。何もしないと、なかなか見つけてもらえない。でも、それをネガティブに考えなくてもいい。帰宅部もある。なにもしないで、家に帰っている人が、あ、私もそうですと。そういうキャラクターが世の中に伝わっているか、伝わっていないかを考えたほうがいい」とアドバイスした。

 

夢は…全力で手を伸ばした一ミリ先にある


 最後に、秋元氏はこんな言葉をおくった。 

 「夢っていうのは、全力で手を伸ばした一ミリ先にあるからね。夢のほうからは逃げないから、自分が手を下ろさなければいいのにな、と思う」