KeyHolder社KeyHolder社

 【驚愕のプレスリリース!】
 1か月前の3月2日、ある上場企業が1枚のプレスリリースを発表した。
 その会社とはジャスダック上場の株式会社KeyHolder(銘柄コード4712)。

 リリースのタイトルは「新株予約権(第1回、第2回)の強制行使に関するお知らせ」だった。

 同社は、2016年7月5日付で「第1回新株予約権」(1株あたり130円)、
2018年6月18日付で「第2回新株予約権」(1株あたり125円)を発行していたが、いずれも強制行使条件の判定基準株価(終値62円)を2020年2月28日に下回ったため、期限内に強制執行されることが決まったという内容だった。

 【常識外れの新株予約権の謎】
 通常、ストックオプション(新株予約権)は経営者や幹部社員らの「モチベーションアップ」のため発行される。時価よりも低い価格で割り当てられ、会社の業績と比例して株価が上がれば上がるほど、“濡れ手に粟”で莫大な利益を得ることが可能。まさにおいしい“ご褒美”なのだ。
ただし、業績不振で株価が低迷すると行使できない。

 KeyHolder社の新株予約権は常識外れの条件が一つ、ついていた。
 それは、株価が暴落し、ほぼ倒産株価といえる「62円」をつけると否応なしに行使価額「125円」で買わなくていけない“罰則”付きだったことだ。

 ちなみに2016年7月5日の同社株価は136円、2018年6月18日の株価は134円だった。割り当てのときには、まさか株価が半値になるとは夢にも思ってなかったのだろう。

 【秋元兄弟に爆弾炸裂】
 いったい、だれがこんな時限爆弾付きの新株予約権を手にしていたのだろうか。
 同日のプレスリリースには「第2回新株予約権」の割当先として以下の3人の名前(と割り当て個数)を公表している。

 ◇秋元 康氏 250,666個(2506万6600株)
 ◇秋元 伸介氏 55,703個(557万300株)
 ◇赤塚 善洋氏 13,925個(139万2500株)

 赤塚氏は株式会社allfuz (オルファス)代表取締役。秋元氏の側近人脈のひとり。累計600万ダウンロードを突破した乃木坂46の公式ゲームアプリ「乃木恋」の制作・配信も手がけ、「乃木坂46のキーマン」とも「名うての仕掛け人」とも言われている。

 東洋経済オンラインの記事も参照してほしい
「あのSKE48に買収価格「30億円」の価値はあるか~買ったKeyHolder社は乃木坂人脈も使う凄腕」(2019年4月6日)

 3人は行使条件に応じ、総額40億円以上をつぎ込まなくてはいけないのだ。なかでも秋元康氏はボロ株に31億3332万5000円を投資するはめになってしまった。

 (この項つづく)