作曲者のひとりとしてクレジットされた平手友梨奈作曲者のひとりとしてクレジットされた平手友梨奈

これが、本当の幕引きだと思った。

 前日の櫻坂46デビューカウントダウンライブで披露された「櫻坂の詩」には「きれいごとで済ませちゃって」と釈然としない部分があった。

 絶対的センターの無言の脱退、主要メンバーの相次ぐ離脱、改名、楽曲封印…。
 その背景には、“きれいごと”ではない凄惨な現場があったのだろうと思うが、真相は、ドキュメンタリー映画でも、何一つ語られなかった。

櫻坂46デビューカウントダウンライブ

 知らないほうがいい場合もある。

 ただ、心のどこかで、「欅とはきれいにお別れしました」「はい、きょうから、無垢な白をイメージカラーにした櫻としてリスタートしますよ」に、漠然とした“わだかまり”があったのかもしれない。

 平手友梨奈が9日(櫻坂46デビュー日でもあった)、FNS歌謡祭で披露した「ダンスの理由」が反響を呼んだ。主に女性ファンから「カッコいい」「こういう平手が見たかった」と絶賛する声が飛んだ。

「ダンスの理由」をパフォーマンスする平手友梨奈

 あれをカッコいいと言うのか…?という僕個人の考えは、胸にしまっておくとして。

血のにおいがするパフォーマンスだった。

 「憤怒」「絶望」「慟哭」、抑えきれない感情が暴発する。そして傷口には、いまだ血がにじんでいる…と妄想した。

 歌詞はあくまでフィクションである。平手友梨奈個人に結び付けるのは危険だが、あえて連想させようとしているのかもしれない。

 強い言葉で「部外者に言わせるものか」「私は許さない」とシャウトし、「守る」「死なせない」「救う」との覚悟を、全身で表現した。そして、この歌詞が脳裏に残る。

 誰かの悲しみを癒す その一瞬のために夢のようなターン決めよう

 「孤独」のヒロインが、闇に包まれた過去と決別、だれかの「希望」となるべく歩き出す…。 

「ダンスの理由」をパフォーマンスする平手友梨奈

 平手のパフォーマンスを見て、「過去に、どんなりつ然とする出来事があったのか、詮索するのはもうやめよう」と思った。

 さすが絶対的センター、ひとりでケリをつけてくれたのだから。
 
 10月に「欅坂の歴史に幕を閉じる」ラストライブが行われたが、FNSの平手のパフォーマンスが本当の「最後」の幕引きだったような気がした。


 平手も、櫻坂46も、どちらも応援し続けたい。