渡邉理佐渡邉理佐

 表題としたのは、夏目漱石作「こころ」で主人公がつぶやくセリフだ。中学生のころ、漱石にはまって片っ端から読み漁り、この一言は自分自身の人生の中でもっとも影響を受けた言葉だった。

 「お前は覚悟があるのか?」。人生で迷うこと、悩むことは多い。「覚悟」は、だれかに甘えがちな自分に、つらいことから逃げたがる自分に、突き付けられる怜悧な刃だ。

 が、しょせん「覚悟」を決められず、フラフラしてばかりだった己が人生だったかもしれないとも思う。だが、だからこそ、「覚悟」を決めた人に、ある種の美しさを感じる…。

 欅坂46の渡邉理佐(21)がライブドアニュースの単独インタビューに応じ、過去4年の激動の活動を振り返っている。グループ初のドキュメンタリー映画「僕たちの嘘と真実 DOCUMENTARY of 欅坂46」の公開に合わせて2日に掲載された(映画は「武漢コロナウイルス」の余波で公開延期となっている)。

 “てち”平手友梨奈についてもさまざまに語っている。

 「平手は周りのメンバーが見入ってしまうくらい、スゴいものを持っているんです。『サイレントマジョリティー』の時点で、最近まで普通の女の子だったということが信じられないくらいの表現力を見せていましたし、あのMVの完成版を観たときに「本当にスゴい子なんだ」と思ったのを覚えています」

 さらに「グループを引っ張ってくれていた存在」「私たちにとって、本当に重要な存在」と評す一方で、「年相応のところもあって、パフォーマンスをしていないときは楽しいことも好きで、ふざけたりする無邪気さも持っていました」と素顔のキャロてちも紹介した。

 「一緒にテーマパークに遊びに行った」ときのエピソードでは、「平手ってそういうときに何を話すかというと、グループの話題がほとんどなんです。会話をするたびに本当にグループのことを第一に考えてくれているんだなと思っていました」と、21人の絆を大事にしていた平手の様子を明かした。

 1月23日、てちは脱退した。てちのいない欅坂がすでに始まっている。
 そのことにもっとも危機感を抱いているひとりが、理佐ではないか。ここ最近のインタビューで理佐は、自分の内面をかなり率直に明かしている。

 このインタビューでも、理佐は「初期の頃は、自分が引っ張っていく立場ではない」「誰かを支えたりすることが自分の役目」と思っていたと打ち明けた。

 だが、4年がたち、役割も変わってきた。
 「私が引っ張っていかなければいけない状況が少しずつ出てくる」「これからが本当の勝負だと思うので、少しでもいい方向に引っ張っていけるように、私自身も行動していかなきゃいけないと考えています」と決意を語った。

 心ない向きから「絶対的センターがいない欅坂は解散したほうがいいのでは」といった声も出たが、理佐は「ひとりでも応援してくれる人がいたら、私はその人のために全力を尽くしたい」と言い切っている。

 彼女の言葉の端々から、静かだが、「覚悟」を決めた人の強さも感じる。
 「避雷針」のパフォーマンスでは、走り込んでくるてちを受け止めた理佐。次のセンターがだれになるかはわからないが、私は決めた。

 「理佐推し」。