こんなにも涙が美しく、こんなにも笑顔がチャーミングで、こんなにも気品に包まれた人を、僕は知らない…。
2022年11月9日、櫻坂46のキャプテン菅井友香(26)が2022全国ツアーファイナル東京ドーム公演でグループを卒業した。
思えば、アイドル(ことに秋元アイドル)にまったく興味がなかった僕が、欅坂46(櫻坂46の改名前のグループ名)のことを知ったのは、2020年1月、あの平手友梨奈“脱退”ニュースを目にしたからだった。当時、大手スポーツ紙に派遣され、ときおりネットニュースなるものを書いていた。「平手?WHO?」「欅?WHAT?」とちんぷんかんぷんだったが、さすがに「アイドル基礎知識ゼロ」じゃまずいだろうと思ってYoutubeなどで動画をあさりだしたところ、年甲斐もなく、すっかりハマってしまった。
あれから3年弱。
ゆっかーの「前向きなお別れをします」(初の配信ライブ)に胸をしめつけられ、「欅坂46が大好きです」(ラストライブ)に涙腺崩壊した。一方で、毎週の「レコメン!」を心待ちにし、滑舌女王ぶりや、ひゅーひゅー口笛解禁や、「あっはーん」に笑わせてもらった。
開演(午後6時)3時間前にドームに着いた。スタンド1階席。広い。さすがにまだ席についている人は少なかった。見逃していた冠バラエティー「そこさく」や、特別番組「櫻坂46の『さ』」を視聴しながら開演時間を待った。
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ライブ本編(別稿で書きたい)が終わったあと、ゆっかーの卒業セレモニーが始まった。
デザイナーの尾内貴美香さん製作のドレスとティアラを身にまとったゆっかーは、「王女さま」のように美しかった。映画「ローマの休日」のヘプバーンと重ね合わせ、ふと、ゆっかーでリメイク版「ローマの休日」をつくったらどうだろうという思いがよぎった。
以下、ゆっかーのスピーチ全文を掲載したい。
【菅井友香、卒業スピーチ全文(2022/11/9 in 東京ドーム)】
みなさん、今日は櫻坂46のツアーファイナル公演にお越し頂き、ありがとうございます。そしてこんなにすてきな卒業セレモニーを開催して頂き、本当にありがとうございます。
平日のお忙しい中、こうして時間をつくって会場に足を運んで頂き、そして配信でもたくさん見守って頂いて…いるかな? 夢だったこの東京ドームで、大好きなチーム櫻坂のみんなと一緒にこの日を迎えることができて本当に本当に幸せです。
今、この場を借りて、これまでの7年間を少しだけ振り返らせて頂きます。
2015年、メンバーに加入して、2016年に「サイレントマジョリティー」で欅坂46としてデビューさせて頂きました。思い返すと本当に波瀾(はらん)万丈なアイドル人生でした。で、キャプテンに任命して頂いたことは人生の転機だったなと思います。大好きなみんなと一緒に協力しながらだったんですけど、うーん、すごく複雑でアンバランスな部分のあるグループをまとめることはすごく、すごく難しかったです。
自分のふがいなさを感じることもあったし、でもそんな時にメンバーが…まだ10代の子も多かったので、なかなかみんな一生懸命頑張るんですけど、思うようにいかない日もありました。そんな時に私はキャプテンとして、せめてみなさんとグループをつなぐ架け橋になれるように頑張ろうと向き合っていました。それでもグループの、大好きなグループのイメージがなかなか思うように伝わらなかったりとか、覚悟はしていたものの、いろんな言葉でバッシングをされてしまった時はすごくショックなことも多かったです。周りを信じることが難しくなってしまって、心にもウソをつかなきゃいけなくなってしまい、なかなか心から笑えることが難しくなってしまった時期もありました。
でも、そんな時に応援してくださるみなさんがいてくれたことが本当に本当に心の救いでした。いろんなところを通じて、たくさんの応援のメッセージを送ってくださったり、ライブやいろんな舞台に足を運んでくださって、まだまだ未熟な自分を受け入れて期待してくださることが本当にうれしかったです。そんな思いに応えられる人間になろうと、期待してもらえるような人間になろうと、前に進むきっかけをくださったのはいつも見守ってくださっている皆さまでした。
そして、このグループ活動の中で、秋元康先生の書いてくださったたくさんの名曲の数々を大好きなメンバーのみんなと歌えたことは、私の人生にとっても誇りです。そして応援してくださるみなさんはもちろん、いつもいろんなところで支えてくださった多くの関係者のみなさまや、大好きなメンバーのみんな、そしていつもどんな時もそばでケアしてくれた家族、たくさんの方々に支えていただき、今日まで走ってくることができたなと今、感謝の気持ちでいっぱいです。
櫻坂46になってから、メンバーのみんなの笑顔がたくさん増えたって、いろんなところでお話させていただいてきたんですけど、そんなみんなのおかげで私も自然と心が軽くなって、立場とか関係なく1人のメンバーとしてたくさん笑えることが増えました。大好きなかけがえのない、一緒に戦ってきた一期生のみんな、そしてありのままの私を慕ってくれるかわいいかわいい後輩もできました。今、お別れするのがすごく寂しいです。
(涙がこみあげるゆっかーへ、客席からは拍手が)
そんな大好きな櫻坂46はみなさんの応援のおかげでここ2年ですごく前よりも成長してたくましい櫻になったと思います。そしてみんな一生懸命で前を向いて、いつも真面目に頑張っている頼もしいメンバーでいっぱいです。そんな櫻坂の魅力がもっともっといろんな方に伝わっていってほしいなと心から思っています。
そんな自慢のグループにこれから三期生のみんなも入ってきてくれるので、どんな子が来てくれるのかなと私もわくわくしています。ぜひこれからの櫻坂も応援していただけたらうれしいなと思っています。そして大好きな欅坂46も、大好きな櫻坂46も、それぞれにしかない楽曲、グループ、メンバーの魅力がたくさんあります。どっちがいい悪いとかじゃなく、それぞれを尊重しながら、魅力を受け入れて、どっちも愛していただけたらうれしいなと思っています。
(客席から再び大きな拍手)ありがとうございます。そして私自身も、またみなさまとお会いできるよう、私の道を頑張ってこれからも、この経験を忘れず、楽しかったこと、苦しかったこと、全て抱きしめて前に歩んでいきたいなと思っています。これからも大好きな櫻坂46の、そして菅井友香の応援をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
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欅も櫻も「どっちも愛して」という言葉にジーンときた。さすがキャプテン。
そして、総合プロデューサー秋元康氏の名前もあげ、「先生の書いてくださったたくさんの名曲の数々」と感謝の言葉を続けた。卒業スピーチで、“やすす”の名前をあげた人はいただろうか。気配りの人らしい。
最後、「がんばりき」ポーズでアイドル人生を締めくくったゆっかーと、僕ら“Buddies”の契り。
サヨナラは「その日まで」、だから悲しくないよ。