アイドルグループ「欅坂46」の最初にして最後のドキュメンタリー映画「僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」。
 前夜祭、初日、昨日(9日)で計4回見た。

 自分の中でひとつ「決着」がついたので映画の感想を上下2回にわたって書こうと思う。今回は2回目。

(以下、【ネタばれあり】なので、ご注意を)

 《愛されてない…》
 昨日、映画を見る前に、平手友梨奈とRADWIMPSの野田洋次郎のラジオ対談(TOKYO SPEAKEASY)を聞いたので、その影響もあった。

 てちファン(自分もファンなんだけど…)にはこっぴどく怒られそうだけど、てちの発言が悲しかった。

 友達について「…いないですね(笑) 友達っていうのもどこからどこまでを友達って呼んでいいのかも分からなくて…勝手に自分が友達だと思ってたら相手は違うかもしれないって考えたりすると…」

 ひらがなけやきのメンバーだった柿崎芽美さんのことを思い出した。詳しいわけじゃないけど、一時、声が出なくなったてちに向かって芽美さんが「大好きだよ」を語りかけたことをきっかけに声を取り戻したという感動的なエピソードや、二人が水族館デートする動画などを、のちに見聞きして「ああ、2人仲良しなんだなあ」「きっと親友なんだろうな」と勝手に想像していた。

 ひらがなけやきのメンバーで、現日向坂46の影山優佳は、欅坂46の「改名」発表後の公式ブログ(7月17日)で次のように書いていた。

 「また、私個人的には芽実を思い出しました!誰よりも欅を、けやきを愛していた芽実。
それは執着ではなく愛着で。芽実はこのニュースをきいて、どう思うのかなってふと気になりました。会いたいな。」

 この一文からも、芽美さんは欅坂もけやき坂も、そして平手友梨奈のことも愛していたんだろう、と思った。

 だが、ラジオの対談で野田洋次郎に「愛されてるのはわかってるんでしょ?」と聞かれたてちは、「いやでも私、そんな、私愛されてない、、(笑)」と答えている。

 

 《「希望」を感じた瞬間》

 恥ずかしながら大のおっさんが、映画を見るたびに泣いた。
 ゆっかーが不協和音の代理センターを務めたシーン、
 みいちゃんが二人セゾンで「会場全員を敵に回してもいい」と覚悟を決め、てち不在のセンターに立ち、踊るシーン、

 もがき苦しんでいた彼女たちから「希望」を感じた瞬間だった。

 また、「黒い羊」のMV撮影後、倒れ込んで起き上がれないてちのもとに駆け寄るメンバーの姿に自然と涙があふれた。
 「てち、てちには届かなかったんだろうけど、メンバーはみんな、てちのこと、愛していたんだよ」。
 スクリーンのてちに、そう語りかけたくなった。

 ほかのシーンでも、てちの背中をやさしくさすったり、抱きしめたり…。あかねんはインタビューで「バックダンサーでもいいと思った」と発言しているが、これもグループ全体への愛情と、てちへの愛情の裏返しだと思った。

 てちがグループを去った決断は前向きに捉えたい。秋元Pのプロデュースのもと、素晴らしい才能との出会いがありそうで、じっさい、今回対談した野田とのコラボも現実味を感じさせる。「アイドル」という枠を飛び出して、自由にその才能を光り輝かすに違いない。

 ただ、ひとつだけ願いが…。「欅坂46のメンバーたちがてちを愛していた」ことに、いつの日か気づいてほしい、と映画を見ながら切実に願っていた。

 《見続けていこう》

 ラスト近くで、監督がTAKAHIRO先生に「大人の責任とは?」と質問するシーンがあった。あまりにも唐突な問いかけのような気がした。監督が「大人の責任」という問題意識を持っていたなら、その問題意識をもっと掘り下げてほしかった。

 ただ、この質問へのTAKAHIRO先生の答えが耳に残った。「見続けることでしょうか。点ではなく、線で」

 もともとアイドルに興味はなかった。てちに強烈に惹き付けられてファンになったので、10月のラストライブまでは欅坂46を応援し続けるが、改名後の新グループに対しては関心がなくなるだろうと内心、思っていた。

 また、てちが去った新グループは、秋元アイドルらしい「歌も踊りもポンコツだけど、かわいい美少女が頑張る姿を応援してね」といった路線に戻る可能性大と想像している。(新2期生はまさにそんなタイプ)

 でも、どこまでも繊細で優しく、たくさん傷つきながらもたくましさも身につけ、主要メンバーは10代から20代へと美しく成長してきた。

 映画でそんな彼女たちの姿に時に涙しながら、「見続けよう、彼女たちを。28のかけらの行方を。点でなく、線で」と思うようになった。

 (おわり)