「表現の自由」はあるけれど…

 「表現の自由」はある。メディア出身の僕らにとっては守らなければいけない「自由」の一つである。
 一方で、不用意な言葉で他者を傷つけないようにすることも心掛けないといけない。

 古いアニメなどを見ると、いくつかの言葉が「ピー」音で消されている。以前は使用できた言葉が「差別的な表現」として禁止されているケースがかなり多い。

 人種差別や身体的な特徴を示す表現は完全にアウト。
 それ以外でも、たとえば職業の「~屋」という表現は(差別意識はなかったが)新聞用語では自主規制された。
 床屋は理髪店、八百屋は青果店などに言い換えた。ただ、地の文でなく、誰かの発言(かぎカッコの中)では「八百屋さん」「床屋さん」と“さん”付けしてある場合はギリギリセーフということにしていた。

 欅坂46の“幻の9thシングル”だった「10月のプールに飛び込んだ」(10月7日発売のベストアルバムに収録)のフルバージョンが14日深夜の文化放送「レコメン!」で初披露された。

 その中の歌詞の一節が気になった。

 僕は中指を立て
 大声で言ってやったんだ
 出来るものならやってみようよ

 
 「I’m out」(7thシングル「アンビバレント」のカップリング曲)にも、次の一節がある。

 唾を吐いて
 中指を立てる

 「中指を立てる」とは…。

 ネットでその意味を検索してみた。

  欧米でこれをやると「Fuck you」という侮辱表現になります。 この中指は陰茎、人差し指と薬指は陰嚢を象徴し、”Fuck you”(くたばれ、くそくらえ)などの侮蔑表現に相当する卑猥で強烈な侮辱の仕草である。

 映画やアニメなどでおなじみの中指を突き立てるポーズは「the middle finger」「the finger」または「the bird」と呼ばれ、アメリカを中心とした欧米では相手への最大級の、極めて侮辱的、攻撃的なサインとして知られています。もともとは男性器を現した形に由来するものだと言われています。

 アメリカの映画やプロレスラーなどもやっているので軽々しく感じますが、実際のところはかなりシリアスな行為です。冗談でやったら相手に殺されても不思議でないぐらいの侮辱だという意見です。

 10代の無垢な少女たちにこんな言葉言わせて面白がっているんだったら悪趣味。

 先日の歌番組で、欅坂46の楽曲が世界でも反響を呼んでいることが紹介された。「中指…」の歌詞を英訳したとき、各国の欅坂ファンの方々はどんな反応を示すんだろうか。

 不協和音の血染めのパフォーマンスが「過激な表現が含まれていた」としてベストアルバムから削除されることが発表された。「中指…」の歌詞についても、「卑猥」「侮蔑的」などと非難されるおそれはないんだろうか。

 季節外れのプールに飛び込むことが自由だなんて、自由の意味をはき違え、ひとり粋がっている「僕」、あまりに世間知らずで青臭い「僕」を象徴するためにあえて「中指…」ポーズをさせた…ってわけなのか。

 むろん、歌っているメンバーに罪はない。

 Youtubeで欅坂46の楽曲をピアノで演奏する動画がいくつかアップロードされている。改めてこんなに美しいメロディだったんだな、と聴きほれてしまう。失礼な話だが、歌詞がないほうがストレートに楽曲そのもののよさが伝わってくる気がした。

 個人的には、秋元さんの“詩”に共感できないことが多い。