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作詞家で音楽プロデューサーの秋元康氏(62)が18日、NHKのトーク番組「ごごナマ」に出演、昨年活動休止したアイドルグループ「欅坂46」のことを「笑わない、媚びない、不思議な子たち」と振り返る場面があった
この日、ごごナマは最終回を迎えた。4年間続いた番組の最後を飾るゲストとして秋元氏が登場した。
作詞した楽曲7000曲以上。「メガヒットの作り方」を聞かれると、秋元氏は「一番は口ずさめること、次に“思い出の目次”になること」と答えた。
アイドルグループAKB48の代表曲のひとつ「恋するフォーチュンクッキー」は、「ヘヘイ~ヘイ~、ヘヘイ~ヘイ~」と口ずさみやすいメロディーや、一緒に踊りたくなるダンスが人気だった。
MCの俳優、船越英一郎(60)から「どうしてフォーチュンクッキー、という言葉をチョイスしたのか」聞かれると、秋元氏は20歳前後のころロサンゼルスのチャイナタウンでフォーチュンクッキーを初めて食べた思い出から、と答えた。「中に、ちっちゃな紙が入っていて、そこにあなたの運勢とか、格言とか、アドバイスが入っている。ずっと、面白いなと頭に残っていた。曲を作ろうと思ったとき、その記憶が結びついた」と説明した。
次に、番組側は「アイドルに反戦フォークを歌わせた」とのエピソードを用意した。
秋元氏は「反戦フォークってわけじゃないけど…。僕らの世代は、ちょうど反戦フォークがすごくはやっていた。いろんなかたちで影響を受けた。声高に、なにか難しいこと言うよりも、音楽に乗せるとスーッと(心に)入ってくる。自分に自信がない人、自分は嫌われているんじゃないか、教室で孤独だ、先生とうまくいかない、家族ともうまくいかないという人に、難しい言葉じゃなく、音楽でフッーと入っていけたら、なんとなく元気になりました、みたいなものがつくれたらいいな、というのがずっとあった」と語った。
その代表ソングとして欅坂46のデビュー曲「サイレントマジョリティー」が紹介され、2016年の紅白初出場時のVTRが流れた。絶対的センター平手友梨奈に、フロントには今泉佑唯の姿も。
VTRを見ていた船越は「欅坂ふぉーてぃーえいと(??)の出現はほんとショッキングでした。僕らのジェネレーションだと、ニクソン大統領が“グレートサイレントマジョリティー”と演説でこの言葉を使った。その記憶からしばらくなかったのが突然、しかもアイドルの楽曲として現れてきた」と、その衝撃の大きさを語った。
「若者たちに、どのような思いを託したのか?」と船越から質問されると、秋元氏は「プロデュースするってことが、無色なものに色をつけると思っている方がいるが、無理ですよね。そうではなく、僕らは0.1を1にする。なにも持っていない子にこちらが色をつけるんじゃなくて、もともと持っているなにかを引き出す」と、アイドルをプロデュースするときの持論を語った。
そのうえで、欅坂46の初期メンバーたちの印象を次のように明かした。
「アイドルのオーディションと思えないぐらい、笑わないし、媚びないし、不思議なこたち。でも、それがいいな(と感じた)。“よろしくおねがいします、ニコニコ、こんにちは”がアイドル(のイメージ)だったのに、彼女たちは違った。この生き方、いいな」と、清楚な乃木坂46と違った魅力を感じたという。
デビュー曲「サイレントマジョリティー」を作詞するさいは、「若い人たちも、(自らの)本意ではないのに、先生や親にイエスと言ってしまう(ことがあるのではないか)、いやいや、自分の意見を言っていいんだよ、というメッセージから作り始めた」という。
大ヒット後、「パラドックス」を指摘する声も相次いだ。「大人たちに支配されるな」と彼女たちは歌うが、「それをつくったのは、その詞を書いたのは大人じゃないか」と。
秋元氏は「違うんですよね。僕が言ってるんじゃなくて、彼女たちの口から発したら、なにが一番刺さるかな、という作り方をしている。僕はこの詩を書いたとき、自分はいないんですね。それが、シンガーソングライターと違う。僕のメッセージではなくて、この人が言葉を発したときに何が一番刺さるか、という作り方をしている」と解説した。